Escape From Tankoufu
タルコフ市から脱出したと思っていたら、銀河の果てで炭鉱夫に就職していた……
なんなら結局60時間くらいあそんでしまった。
YAGER 開発のPvPvEルートシューター The Cycle: Frontierのレビューをしていきます。
巷ではF2P-SF-タルコフなどと呼ばれておりますので、タルコフ市民として比較しながらのレビューとなります。
リリースされプレシーズンも始まっています。実際にプレイされる方向けの知識集もこちらにしたためましたのでよかったらご覧ください。
もくじ
更新履歴
2022/03/28 さらに20時間ほど遊んだのでいくつか加筆修正
概要
プレイヤーはプロスペクター(炭鉱夫)となり、自費で装備を整え、マップに設定されたランダムなスポーンポイントへ降下し、逆サイドの回収ポイントを目指し、道中で戦闘やルートをこなしていく。
ステーションの派閥からミッションを受け、木の下にグレネードを4個隠しなさいとか、あの場所で指定のモブを一杯倒しなさいとか、そういうのもこなしていく。
派閥との有効度が上がると派閥固有武器などが解禁されていく。
とどのつまりルートシューター。敵は惑星に自生するモブと、同じく惑星に降下した他のプロスペクター。他のプロスペクターとは即席パーティを組んでもいいし、もちろん殴り合って装備の奪い合いをしても良い。
VOIP、テキストチャット、ラジオメッセージ何れも実装済みであるため、撃たないでくれと言いながらトリガーを引いてももちろん問題ない。
無論の事、出撃時に保険をかけなかった装備は死亡すると失われる。
ふーむ、これは、うむ。最近何処かで見た気が。。。
タルコフといろいろ比較しながら見ていく
言わずもがな、本作のプレイフィールはEFTにどことなく近いが、かなり薄味でライト層向けに調整*1されている。
このブログの読者のように頭のてっぺんからKAPPAの先までタルコフ市に染まったエリートPMC(偏見)は最初はあまりのマイルドっぷりに「俺なんであんなマゾゲーやってんだろ」と思うかもしれませんが、やっていることは炭鉱夫なのでどうか落ち着いてください。
UIや全体的なQoL
全体的な体験としては非常によくできている。不満点があるとすれば、自分の部屋や派閥ショップ、クラフトメニューなど各サービスにアクセスするために基地内を歩かねばならない事ぐらいか。
ヘルスバー表示、コンパス、味方の強調表示、自分の位置が表示されるミニマップも全て搭載しているのでマップ暗記から入るどっかのPMCとは大違いである。
個人的にとても評価が高い点としてロードが爆速という点が挙げられる。
あくまで筆者環境ではあるが出撃してから10秒程度で降下開始、1分以内に動けるようになる。タルコフだったらまだマッチングしてないのでこりゃ相当早いですぜ。いや、タルコフがアホほど遅いだけなんだけど。*2
始まりと終わりのトイレタイムが無いので出撃して漁って脱出するという行為に没頭できる感は非常に良く、レイドをブン回し続けることが出来るだろう。
あともう一つうれしいのが、直湧きアイテムや漁れる箱が光って見やすい。漁れる箱がすぐ覚えられる。
保険
死亡時に一定の保証が受けられる2種類の保険システムがある。
- アイテムに保険をかけておくと、死亡時に一定のお金が払い戻されるスタンダード保険
- アイテムに保険をかけておくと、死亡時にそのアイテムが返ってくる装備サルベージ
- ほかのプロスペクターに盗まれてしまった場合は保証としてお金が払い戻される
前者の保険は掛けた金額より多くの金額が返ってくるため完全にかけ得であり、保険の費用が捻出できるならかけない理由はない。
ただし両者とも保険の発動には条件がある。
- 死亡保険なので死ななかった場合は発動しない
- 自分でアイテムを捨てた場合は保証の対象外
- 死亡時に自分で持っている必要がある
- 味方にルートされた場合でも発動しない
この、保険の発動要件に対する仕様は明確にEFTの保険システムの悪い点を打ち消したものとなっている。
- PTの生き残りが全員分の装備を隠すことで保険を発動させる
- 自分の装備を確実に持って帰りたいので、保険をかけて草むらや池に沈める
といったタルコフではありがちな保険の悪用を許さない。これはいいシステムだと個人的には思う。
特に前者については死んだ時点で敵に取られようが取られまいが発動する。貧乏人ほど保険をかけろとよく言われるがまさにその通りのかけ得となっている。
保険について補足
基本的にかけ得であるが、パーツを付け外しすると保険が解除されるという仕様があるのでイケメン武器の現地ビルドがやり難い。
保険に使った費用は返ってこないので損してしまう。
装備や消耗品
世界観が未来の宇宙なので銃やアイテムは全て架空の物である。パーツや弾も大幅に簡略化されており
- 弾はライト、ミディアム、ヘビィ、SG、スペシャルの5種
- 銃によって貫通やダメージが異なる
- パーツは銃や弾によって対応が異なる
とUIも含めてかなりAPEX系を意識したつくりになっている。APEXほど単純ではないので、どちらかというとPUBGに先祖返りしているかもしれない。
個人的に残念だなあと思う点は、UI上しょうがないのだがパーツを付けても銃の見た目が変わらないというところである。
この二つの銃は片方にはパーツが付いているが外見上は区別がつかない。重さが違うのでそこで区別できる。
パーツもレアリティによる性能差しかないので、イケメンパーツを付けたNATO銃を一生倉庫で眺めて愛でるみたいなアクションは発生しようがない。
また、同じカテゴリのパーツも全く同じ見た目なのでマウスホバーするまで違いが分からない。
この辺は流石にプレースホルダで後々変わるとは思うが、装備面のトキメキは現状カッケェSF武器を見るぐらいしかない。個人的な感想では、序盤武器は全部ダサいがオシリス製ピストルはなかなかナウい。
戦闘面
ヘルスやダメージ周り
ヘルスは部位ヘルス無しの一本、回復は完了時に瞬間回復するのでここはかなりシンプル。被弾時の部位倍率は有り、ヘッド以外にも足や腕でダメージ減衰アリ。
アーマーには防御力、銃には貫通力があり、貫通力が高いほどアーマーを着ていても大きなダメージを相手に与える。まあこの辺はPMC達には直感的だろう。アーマー自体にも耐久力があり、EFTとは違い0になるその瞬間まで性能を発揮する。
モンスターにも防御力があり、貫通力が高い銃を使うとハッキリと余ダメージが増加する。
PvP
プロスペクターキルタイムはタルコフより長くApexよりやや短い。ヘルメットが無くても初期のSMGやARではヘッショワンパン出来ない。マガジンも20発以下が多く、ダメージ10前後の弾でアーマー有り胴体前提だと150ダメージ近く与える必要があるのでやや硬め。
部位破壊などの概念ももちろんなく、戦闘面は全体的に立ち回りのスピードを落としたApexに近い。
これはつまりヘッショワンチャンないということであり、腕前や体力に差がある状態での大逆転が非常に難しい。
順当に装備差や実力差があれば大体負けないバランスになっている。正面から顔面にポンプショットガンぶっぱなしてもメット前提だと2発いる。
これを普通と捉えるかワンチャンなくてシビアと捉えるかは人による。ワンチャン無いのでEFTのようにRAT5人組を正面からすり潰しました! みたいな状況はなかなか難しそうである。
PvE
モブは固くて手ごわい。基本は頭を狙っていくことになるが、ちょこまか動くしヘッショで怯んだりするのでなかなか難しい。
マガジン容量が少ないので群れで来られると非常に厳しい面もある。時にはガンダッシュで逃げるのも重要。だいたい段差や立ち回りでどうにかなる。
まあ、これは好みに寄るのですが、NPCはモンスターしかいないので、倒したときに素材系しかドロップしません。
これがタルコフだったら最低でも武器とリグと弾が手に入っているわけでして、PvEは労力のわりに(脳内物質の分泌と)実入りは少ないです。
これは個人的にはかなりガッカリポイントです。まだ強いモブを倒せてないのですが、そいつからは金になる素材が落ちることを祈りましょう。
斧マン
ナイフの威力は極めて高く雑魚モブヘッショ一発(SG並)で、メットなしヘッショならプロスペクターもワンパンのはず。火力は高いのだがスタミナ消費が重く、ダッシュやジャンプで立ち回りながらの連戦は厳しい。
一方でセーフポケットの容量が非常に小さく、最低限カバンが無いとまともにモノが拾えない。
SCAVがいない以上、カバンの現地調達は素湧きワンチャンか他の炭鉱夫から羅生門する必要がありダルイ。
そのため最低限カバン持ち込みは必須。ピッケルなど炭鉱夫基本セットは持ち込み枠に入らないため、ナイフ自衛でいいならカバンだけはもっていこう。
ハンドガンマン
ピストルの威力は(少なくともアンコモンまでは)同レベル帯のARやSMGと同等のダメージと貫通力を持っているので普通に戦える。
仕事(無限に回せるタスクのようなもの)でピストルキルやモブキルを回す際には気軽に使っていける。全体的にマガジンが小さめな本作において殊更マガジンが小さく、継戦能力の点で対人はやや厳しいが。
ある程度脱出率があれば普通に金溜まっていくし自衛がメチャ楽になるので余程貧乏でない限りハンドガンは持って行った方がいいと思う。
一番安いハンドガン + 弾1スタックで1200円であり、適当にモノ拾って脱出出来れば余裕でペイできる。
財政面
- 各ミッションの金払いがまあまあいい
- デイリーで武器やアーマーが貰える
- 鉱石掘り装備は基本装備枠なのでロスト無し
- お金製造機が早急に解放される
- 燃料要らないのでお金が満タンになる前に受け取る手間だけでよい
- 完璧にかけ得の保険
- 仕事(デイリータスク的なもの)が何回も回せるので金が溜まる
- 受注可能な仕事一覧をクリアするとまた最初のリストに戻ってきて受注できる感じ
- 一部納品系や設置系はコスト面で損することアリ。派閥レベルあがるので無駄ではないが
といった数々の手厚いサポートにより全然金が減らない。
特にお金製造機は作った時点でお金を100/h生成し、2500まで溜めておくことが出来るコモンAR + 弾 + 防具回復一式で3000いくかいかないかぐらい。1日一回フリープレイみたいなものである。
お金製造機のアプグレは序盤だとそこそこ簡単で、筆者は現在生成スピード250/hで5000までストックしておくことが出来る。
小さいながらポーチも標準搭載で、QoLの欄でも書いたが保険も完全にかけ得であるため死んでも一定の実入りは保証される。
序盤装備でまったり遊んでる現状では現金は相当余裕あると捉えて差し支えないだろう。
まあ、とはいえ出撃費用は持ち出しであるためフル装備で死にまくっていると金は無くなってくる。しかし安心してほしい。
主人公はエリート炭鉱夫ゆえにナイフ、ピッケル、懐中電灯、双眼鏡の4つは基本装備枠であり死んでもなくなることはない。
超人となり、労働せよ。岩を掘るのだ。激戦区で岩掘ってると音を聞かれて急襲されるのはご愛敬。
スポーンと脱出
本作ではマップのスポーンポイントに沸いた後、逆サイドの脱出地点2か所のどちらかで脱出用の船を呼び出しそれに乗ることで脱出となる。
スポーン
レイトスポーン(途中湧き)有りである。
開幕目の前の箱が空いてたりするとゲンナリすること間違いなし。EFTのように読み込み速度の問題、というわけではなくシステムとして途中スポーン有りのようだ。
さらに、スポーン時に降下地点に煙がたなびく為、敵がスポーンした方向と大体の位置がわかる仕組みになっている。
これがレイトスポーンとことさら相性が悪く、単純に遅れて沸いた側がガン不利になる。壁のすぐ向こうに目の前に脱出ポットが落ちてきたことがあった。
脱出
詳しい脱出手順は以下のようになる。
- 脱出ポイント付近へいく
- 脱出船を呼び出す
- 1分ほどで脱出船が出現し着陸する
- 船は着陸地点で20秒ほどその場にとどまる
- 発射シーケンスが開始され、10秒ほどで船が離陸する
- 船が離陸した時点で生きて乗っていれば脱出
このような手順を踏む。着陸船はゆっくりと音を立てながら着陸するためかなり悪目立ちする。
着陸船を呼んだことが周囲にまるわかりであるため漁夫を強く呼ぶ。バカでかい船を呼んでいるんだから当たり前ではあるが、船を呼びました! いまから出たいと思います! と周りに喧伝するのであるからそりゃ漁夫も寄ってくる。
幸いなことに、離脱する瞬間に船に乗っていればよいので発射ギリギリで船に飛び込む戦術は比較的成功しやすい。
プロスペクターはまあまあ硬く、流石に数発の被弾であれば耐えられる。船の内部に多少遮蔽はあり、数秒我慢する程度なら問題ない。
一応、船を呼ぶだけ呼んで乗らずに漁夫を釣って狩る戦法もあるようだ。
まとめ
いろいろ長文を書きましたが、QoLを改善していろいろ薄味にしたタルコフという捉え方で概ね問題ないと思います。
出撃して漁ってタスクして出てきてるのでやってることはタルコフそのものです。
- 弾もパーツもいっぱいあって覚えるのが大変すぎる
- マップの現在位置も脱出地点も表示がなくて覚えられない
- そもそもヘッショワンパンでSCAVにころされる
- そもそも回復が難しい。軽出血と重出血で止血方法が違うって何???
- お金バンバンなくなっていくんですけど
- head eyes. head jaws.
みたいに、タルコフの初心者バイバイポイントは大体スポイルされてレイド回し行為が切り出されたゲームとなっております。
基本プレイ無料で展開していくようなので、ルートシューターのとっかかりとしてはかなり良いのではないでしょうか。EFTの次シーズンまで時間があるのでもう少しやってみようと思います。
最近は記事を書いたらTwitterで告知するようにしたので、良かったらこちらもフォローしていただけると嬉しいです。
おまけ: シンプル過ぎるとお嘆きのあなたへ
タルコフが常軌を逸してディープで不親切なだけです。
世に広く受け入れられるにはシンプルさや軽快なUIなどはどうしても必要なのです。AKMのマガジンに.366TKMを入れてAKMに似たセミの銃で撃つって何???
普通の人間はピカティニーもM-LOKもKeyModもしらないわけです。
でも我々は855A1でSCARやM4を比べながら撃っていますし、サレワや止血剤を適切に使用できますし、SCAVかあ……とか言いながら安心して頭撃ちぬけるようになっているわけです。
何だったらレーションとかゴルスタとか通販しちゃうわけですし、結局のところ、その川の水が気に入ったのなら慣れるということです。
濃い味のものが食べたかったらタルコフをやればいいですし、薄味のものが欲しかったらたまにはこれを食べるのも良いのではないでしょうか