前回少し紹介したクソゲーの権化たるイノベーションに、なんと拡張パックが出ている。
イノベーションを遊びつくした、狂ったフレンズ達に向けて放たれた知恵の暴力。それがイノベーション・エコーズである。
追加されたカードは非常に強力な、という言葉では言い尽くせない、大変にパワフルなカードばかりで、これを如何にツモって如何に有効活用するかが最大の焦点になる。
進化したクソゲー
エコーズの評価は難しい。クソッタレな世界に突如として舞い降りた知恵の恐怖。バランスが崩壊した世紀末を、オーバーパワーで生き抜いていく。
昨日の敵は今日の友。今日の下位は明日のトップ。明後日? そんな先のことはわからない。
この圧倒的ライヴなサバイバル感はまさしくイノベーションの正統進化であり、これにどハマりするような人種にとっては待望の拡張パックといえよう。
追加カードが超強力で超難解で超重要
追加されたカードはどれもこれも超強力。かつ、カード自体のテキストも長くなっている物が多い。マジでやめろ。
さらに、イノベーションは基本的に文明を進めていくにつれて、カードの能力がより強い能力に上書きされていく。つまり以前の効果は消失するのだが、拡張の導入によって、過去の能力の一部を引き継ぐことが可能になり、進化時のオーバーパワーっぷりに拍車がかかりまくるわけである。
これはそのまま、一手番の解決時間(思考時間ではない)の増加を招く。効果がエコーしてエコーしてエコーしてそれから本体の効果を発動、みたいな感じになるわけだ。やってる本人はめちゃくちゃ楽しいので許してやってほしい。
相手が何をしてくるか、それも考えてプレイしなければならないが、発動時に及ぶ効果が人智を超えた範囲に波及するため、正直自分の身を守るだけで割と精一杯である。
後半の存在しない序盤
あまりにオーバーパワーになりすぎたせいで、後半の時代に進化しないうちにゲームが終わることがある。
というか、トップを止めるにはトップを超える力で殴るしかないので、運悪く全員で止める手立てがない場合はそのままネクストゲームに移行したほうが良い。
5人までプレイ可能に
この狂った世界に飛び込みたいという5人目のモヒカンが万に一つも存在したのであれば、5人プレイが可能になった。
このゲームは、内政が他人に影響を及ぼすことが多いため、一手あたりの思考時間がかなり長い。他人に影響を及ぼした場合、基本的に一人ずつ順番に解決していくため、人数が増えれば増えるほど1手番あたりの解決時間も増えていく。つまりは、プレイ時間も増えていくことになる。
我々プロフェッショナルが、一手番3分縛りを導入して、3人で90分かかるので、慣れてない人間が入ったら2〜3時間は覚悟しよう。多分その前に誰かが心折れて中断すると思うけど。
一周して神ゲー
世紀末得点奪い合いゲーム 修羅の国編と化した本作だが、相変わらず1ドローでオーバーパワー能力を手に入れることが可能なので、ワンチャンあればカテルーを体現した神ゲー、と言えないこともない。
例によって大量のテキストと膨大な計算量となによりかなりのプレイ時間を要するため、間違ってもボドゲ初心者、とくにイノベ未経験者に勧められるようなシロモノではないが、殴り殴られが許容される、気の合う狂人が周りにいるのなら、一度プレイしてみるのもいいだろう。
昨日これを2回連続でやったんだけどやっぱり頭がおかしくなったのかと思う。まあ布教したのは僕なんですが。